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2015.9.15 シンポジウム「海に開く」で講演

2015.9.15 シンポジウム「海に開く」で講演


2015年9月15日、神戸振興協会主催、神戸市・国交省近畿地方整備局・国交省神戸運輸監理部後援によるシンポジウムが神戸海洋博物館ホールで開催され、井上欣三神戸大学名誉教授が『災害時の船舶活用について』講演されました。

【講演内容:港の達人講演(ppt資料)

【写真:(会場)】

 

講演の概要

災害時における支援形態は発災からの時間経過によって変化します。発災から1週間ほどの緊急時には被災地の機能回復を目指した被災地支援に重点が置かれ、発災から数週間から1か月以降の復旧・復興期には支援の手は被災者に対する生活支援に重点が移ります。

災害時には、船は港の機能回復を待って活動できるものであることを考えれば、政府艦船は別として、民間船の活用は復旧・復興期以降における被災者の支援に焦点を絞るのが合理的であるといえます。

ところが阪神淡路大震災、東日本大震災を経た後も復旧・復興期以降における被災者支援に焦点をあてた民間船の活用方策について系統的にその考えが整理された経緯はありません。南海・東南海地震に備えて、復旧・復興期における被災者の生活支援を対象にした民間船の活用を構想化し、手遅れにならないように事前準備を怠ってはなりません。

講演では、まず(1)災害時に民間船で何ができるかをテーマに、緊急時の被災地支援、復旧・復興期の生活支援に大別して民間船舶の活用の方向性を整理、ついで(2)復旧・復興期以降に最も重要となるのは災害関連死予防を視野に入れた医療的観点からの対応であることから、被災者の命と生活を守る支援に対し民間船をどのように利用すべきかを構想化した『災害時医療支援船構想』について解説がなされました。

『災害時医療支援船構想』については、以下の点に焦点をあてながらコンセプトをわかり易く解説、また、このプロジェクトは今どこまで来たのか、ここに至るまでの道のりを、着想から20年を振り返りながら講演が行われました。

講演の焦点

1) 災害時に船で何ができるか
2) 緊急時の救急救命医療に民間船は使えるか
3)『災害時医療支援船構想』の着想はどこから生まれたか
4)『災害時医療支援船構想』の社会への実現はどこまできたか

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