阪神淡路大震災から20年 避難所船構想実現のステージへ ―シンポジウム開催―

災害時医療支援船構想推進協議会(会長 井上欣三神戸大学名誉教授)が検討をすすめてきた避難所船構想が、医療界の協力と国交省の努力により実現のステージに向けて加速がつき始めました。

阪神淡路大震災から20年を前に、平成27年1月15日(木)兵庫県医師会館において、ひょうご県民の医療と福祉を守る会(会長 川島龍一兵庫県医師会長)主催により第5回県民フォーラム『南海トラフ地震に備えて、福祉避難所船の構想から実現へ』と題してシンポジウムが開催されました。

シンポジウムでは「船の要請から手配・入港までのプロセス」と「避難所船内での諸問題」をテーマに川島龍一兵庫県医師会長がコーディネーターを勤め、パネリストは井上欣三神戸大学名誉教授、国土交通省海事局企画審議官、神戸市みなと総局長、神戸旅客船協会長、日本医師会災害医療担当理事、患者会代表、兵庫県健康福祉部長などが勤めました。

シンポジウムでは、避難所船の構想から実現への過程を踏まえて、各界からの代表者による討論により最終ゴールに向けた課題と道筋を探りました。

井上神戸大学名誉教授はシンポジウムにおいて、「災害時に有用な船固有の機能を活用した災害時医療支援船構想は実現のゴールのテープを切る直前まで来ている。しかし、構想を実際のものとするには行政との物理的、意識的つながりをさらに密接にし、実現に向けた連携を具体のものにしなければならない。」とした。

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解説

『災害時医療支援船構想』は、いまから20年前、井上欣三神戸大学名誉教授による発案からはじまり、運ぶ、泊める、生活するという船が持つ三つの機能的特徴を活用することにより、キャリーシップ(患者搬送)、ホテルシップ(医療者活動拠点)、ドクターシップ(避難所船)の取り組みを具体化することを目的に活動を続けている。

プライバシーのない体育館などのストレスフルな避難生活が当たり前であるかのような発想を捨て、災害時に医療福祉弱者にふりかかる災害関連死を防ぐ観点から、船と医療がタイアップして被災者支援を目指そうとする着想が『避難所船構想』である。

避難所船構想は、専門的な設備を待たない民間船の協力を得て船を避難所として活用し、災害弱者を船に収容して船内においてJMAT(日本医師会により組織される災害時医療チーム)が避難所医療を提供するもので、亜急性期以降における医療福祉支援を対象としている。

 

災害時医療支援船プロジェクト