『災害時医療支援船構想』阪神淡路大震災20年を前に ~実現のステージに向けて歯車は動きました~

着想から20年、具体化から10年が経過した神戸大学 井上欣三名誉教授が提唱する『災害時医療支援船構想』の取り組みが、阪神淡路大震災20年を前に、国の仕組みとして実現する姿がみえるところにまできました。
平成26年5月以降の動きについて報告いたします。

【1】
2014年5月17日 井上欣三神戸大学名誉教授が内閣府西村防災副大臣とともに
シンポジウムで講演


このフォーラムでは、船の輸送機能・宿泊機能の活用以外にも、生活機能を活用して船を避難所として利用し、船内でJMAT※が医療・福祉・介護を提供する避難所船構想がテーマとして取り上げられました。これは、「災害時医療支援船構想」の取り組みのひとつであり、災害関連死予防に対応するための船と医療の連携プログラムです。
※JMAT:日本医師会が組織する災害対応医療チーム

なお、シンポジウム講演ならびにパネルディスカッションにおいて、井上欣三神戸大学名誉教授から、内閣府(防災担当)西村康稔副大臣に、災害時医療支援船構想の実現に向けて三つの要望がのべられました。

フォーラム開催に関連して、5/16産経新聞および5/18神戸新聞に記事が掲載されました。なお、6/29神戸新聞は、このフォーラムの全容を紹介した特集記事です。

〇 2014.5.16 産経新聞記事(フォーラム開催に関連する記事)
〇 2014.5.18 神戸新聞記事(フォーラム開催に関連する記事)
〇 2014.6.29 神戸新聞記事(フォーラムの全容紹介の特集記事)

①フォーラム会場 ②井上名誉教授講演
③シンポジウム ④パネリスト
⑤シンポジウム ⑥記者会見
⑦記者会見
【2】
2014年7月15日 国交省の動き
船舶活用のニーズにマッチした船舶調達の実現、第1回検討会


平成26年度には国交省海事局は、船舶活用のニーズにマッチした船舶調達を迅速に進めるため、民間船のデータベースづくりや船のチャーターのマニュアル化に取り組みます。ここでは、船を提供する事業者との調整についても審議される予定です。

「災害時医療支援船構想」も、いよいよ夢のステージから実現のステージへと歯車が動いた実感があります。

このような動きに関して5/21毎日新聞(関東版)、7.17毎日新聞(関西版)、8/8神戸新聞に、船舶活用のニーズに対して迅速かつ適切に船舶調達を行う海事局の取り組みを紹介した記事が掲載されています。

2014.5.21 毎日新聞【関東版】(国交省の取り組みに関する記事)
2014.7.17 毎日新聞【関西版】(国交省の取り組みに関する記事)
2014.8. 8 神戸新聞(国交省の取り組みに関する記事)

 

【3】

2014年8月25日 災害時医療支援船構想推進協議会、平成26年度検討部会が行われました

災害時における船舶活用については、国・自治体の防災計画のなかに『災害時における船舶の活用』の文言が記載され、そして、災害時医療支援船構想ひょうごモデルが行政の手による公助のしくみとして実現されることをゴールとして災害時医療支援船構想推進協議会※【参考】が設立され、平成25年3月3日にキックオフされました。今年度は、平成26年8月25日、年度事業計画を審議するため検討部会が開催され、以下の方針が決定されました。

ひょうごモデルを具体化するために必要な取り組み、をテーマに

(1)
◆国交省への船舶の派遣要請、避難所船の設置、開設、運用については、医師会がこのスキームの運用実施責任主体となる。

(2)
◆ドクターシップ委員会においては、
災 害発生⇒【急性期DMAT出動⇒亜急性期・慢性期JMAT出動】⇒【船舶貸出依頼】⇒【国交省船舶手配⇒フェリー到着】⇒【救護所より災害弱者収容⇒福祉 避難所展開・運用】の流れを想定、具体的運用をシミュレーション的に時系列に活動を組み立てる。あわせて、課題を抽出、課題克服の方向性を検討する。
◆キャリーシップ委員会、ホテルシップ委員会、においても同様に検討する。

(3)
◆兵庫県民医療と福祉を守る会が主催する来年1月15日フォーラムにおいて、その成果が見える形で発表する方向で検討に入る。


災害時に、ニーズにマッチした民間船を調達し、船の各種機能を活用して被災地・被災者支援を実現するための思考手順を、コンセプト図にしたものを紹介します。

構想実現に向けた思考手順は、
①災害時船舶の活用ニーズの具体化
②ニーズ発信元(運用実施責任主体)の明確化
③船舶調達の依頼先窓口の一元化
④ニーズに対応した船舶の確保、調達
⑤船舶派遣、運用

実現に向けた思考手順 ppt図


災害時医療支援船プロジェクト