災害時医慮支援船構想推進協議会がキックオフ



平成24年1月29日に災害時医療支援船構想推進協議会の発足を宣言して以来、一年が経過しました。この間、協議会の趣旨に賛同し会員として登録した団体はおよそ30団体に、国・自治体の協力関係官庁はおよそ10組織に達しました。

平成25年3月3日、多くの支援団体による組織化が整ったことから、患者、医師、薬剤師、看護師、福祉、介護関係者、海事関係者、ならびに自治体・国の行政関係者の参加により、フェリー“さんふらわあ ぱーる”の船上において災害時医療支援船構想推進協議会のキックオフセレモニーが行われました。

また、参加者がこの催しを通じて実際の船に接することにより、災害時医療支援船構想の取り組みについて具体的なイメージを持つとともに、「災害時における船舶活用と医療福祉支援」のあり方について意見交換することにより、災害時医療支援船構想推進協議会がめざすゴールの社会認知、行政理解をよりいっそう促進する機会とするため、船内見学会ならびに船内意見交換会を実施しました。

当日は、130名の会員が参加し、会長 井上欣三(神戸大学名誉教授)、副会長 川島龍一(兵庫県医師会会長)、副会長 宮本 孝(兵庫県透析医会前会長)、事務局 兵庫県医師会、兵庫県難病団体連絡協議会とする組織体制が承認されました。

今後は、キャリーシップ検討委員会(患者さんの海上搬送、支援物資等の輸送を中心とする船の輸送機能を活用した活動)、ホテルシップ検討委員会(避難所がいつまでも体育館でいいのだろうかという反省から、船が避難所または宿泊場所を提供して少しでもよい環境で災害関連死から人の命を救おうという船の生活機能を活用した活動)、ドクターシップ検討委員会(船上の避難所や宿泊所で可能な医療を提供する活動)の三本柱を中心とした検討部会が具体的な活動に入ることになります。

ポスター

当日配布資料①

当日配布資料②

当日配布資料③


キックオフ会場 ふぇりーぱーる
ふぇりーぱーる
乗船見学受付 来賓と名詞交換
船内見学 大部屋船室
個室船室 キックオフミーティング
プレゼンテーション
右より会長と2副服長
TV取材

当日は、マスコミ各社による取材があり、NHK-TV、サンーTVは当日のニュースとして放映、特にサンーTVは3月8日にも特集として災害時医療支援船構想推進協議会の活動を取り上げ、解説番組として放映しました。新聞記事を以下に掲載します。

神戸新聞(2013.3.2)

日本海事新聞(2013.2.26) 

日本海事新聞(2013.3.5)

井上欣三協議会会長の話

 災害のたびに避難所が体育館でよいのか? 船の生活機能を活用して、災害関連死を防ぎ被災者の命を守ろう、という思いがこの構想の始まりです。

 被災地での医療支援に目を向けるとき、被災者の急性期医療はDMAT(Disaster Medical Assistance Team)がドクターヘリで駆けつけるしくみになっています。しかし、透析患者や難病を抱える患者、人工心肺にたよる在宅患者、酸素や特定の薬を必要とする患者、高齢の要介護者等々には支援の手が後回しになることが多く、この人たちに忍び寄るのが災害関連死です。こういう人たちにこそホテルシップ構想・ドクターシップ構想を実現できる船が必要なのです。

 実際の話として、東日本大震災発災直後の3月末、現地における患者の生活環境を改善し、医療の崩壊をとどめるため船をチャーターして港に係留してほしいと患者団体と医療界から相次いで私のところに相談がありました。個人的に船会社に相談をかけてみましたが、費用や補償がネックとなって断られました。

 それ以来、医療界や患者会の期待に答えるためには、一方で船会社に対する直接的な費用補填や間接的な補償を現実のものとしなければこの構想は成り立たないと痛切に感じることとなり、その解決のために行き着いたところが、「災害時医療支援船構想推進協議会」のゴールを(1)国および自治体の防災基本計画に『災害時における船舶活用』の文言を記載し、(2) 災害時医療支援船構想を行政による公助の仕組みとして実現すること、とすることでした。

 今後どこで起こるか予想のつかない大規模災害に対しては、もはやボランティアーの域を超えて、国や自治体による船会社への確固たる費用援護のもとで、医療界や患者会の期待に答える仕組みをつくることが不可欠です。

 その意味からも、川島先生と宮本先生の両副会長に支えていただきながら、具体的な活動と、関係者の意見連携をふまえながら行政の認知を得、一般の方々、医療界、船の世界とあらゆる関係者の理解を得て、目標を達成したいと考えています。

災害時医療支援船プロジェクト