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阪神淡路大震災から20年 

避難所船構想実現のステージへ 

―シンポジウム開催― 

上海海事大学 商船学部 胡 志武 v2

上海海事大学 商船学部 胡 志武

先生

研究室の皆様

桜見物の好季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。井上先生が2月16日に海事科学部長にご就任になられたのは、3月頃、神戸大学海事科学部のTOPページにより知りました。本当におめでとうございました。私の生き様に大きな大きな影響を与え、私がそのスタイルを無意識のうちに模倣してしまっている(もちろん、10分の1も実現できてはいませんが・・・)、敬愛して止まない、井上先生の大きな大きなマイルストーンに喜びがとめどもなく湧いて来ます。井上先生の教え子は世界中至る所にいますが、今まで上海海事大学から参りまして、また戻って来たのは、私一人でした。つまり、上海海事大学では私は井上研究室の唯一の卒業生ということになります。上海海事大学の一番弟子でありながら、私は実に出来の悪い、不肖の弟子であったのです。記念すべき、上海からの第一回の学生がろくに論文を書けない私のようなもので、先生はさぞがっかりしたのでは?と思いました。しかし、先生はそんなことはおくびにも出さず、研究の基本から丁寧に教えて下さいました。一対一のゼミは、井上先生の優しさのおかげで、私にとってはとても充実したものでありました。ある日、先生の研究室で、先生と二人でコーヒーを飲みました。先生は私にこうおっしゃいました。「…君たちはみんな僕の息子・娘です…」そのお話しは、私は今でも昨日の事のように覚えています。そう、その通りです。井上先生はいつも教え子達をご自分の子供だと思って大切に接しています。研究には厳しい、生活には優しい、それは井上先生のポリシーです。井上先生は、私のような私費留学生が経済的困難を乗り越え、日本留学を実りあるものにする為に、ご自分のポケット・マネーさえ出してくださいました。井上先生はご家族をとても大切にされておられ、私が神戸に留学していた4年間、妻や娘と離れ離れになっていたのを、心配されていたのです。その間、先生のご援助で、家族の者が何回か神戸に来ることができました。私が上海に帰ってからも、先生の優しさは変わらず、日本航海学会長などの激務をこなされながら、たまにお便りすると、いつまでも私のことを案じていただきました。私もお便りをしながら、先生のお体が心配で、「あまり無理をなさらぬとよいのになあ。」と思っていました。しかし、人一倍面倒見のよい、心優しい先生は、自分のことならいざ知らず、誰かのためにということなら、体のことも構わず、無理をされたのではないか、と思います。先生、花冷えの候、くれぐれもご自愛下さい。

こちらもひと雨ごとに春の陽気を増してまいりますが、今年2月から航海系副主任に任命されてから仕事がどんどん増えていくことが毎日続いており、休日でさえ子供をつれて公園とか遊びに行く暇もありませんでした。このところ、操船研究室HPへの書き込みがちょっとずつ増えてきて、うれしい限りです。他のOBのみなさんも連絡、再会の場所としてどんどん活用して下さるといいなあと思います。OBの皆様、研究室の皆様、音沙汰なしの失礼をお許しください。去年夏頃のご報告の続きで、それからの仕事と生活をまたくどくどとご報告させていただきます。実は、9月初めからずっと忙しくて大変でした。去年10月16日から22日まで、上海海事大学は中国教育省による「大学教育評価」を受けました。この数年、中国では高等教育(大学教育)改革を行っています。その中の一つは、大学評価の実施です。2002年より、「教育評価」を5年毎に義務付けられています。すべての高等教育機関を対象に、教育状況を「優良」、「良好」、「合格 」、「不合格」とランクがつけられます。上海海事大学側は総動員で、一年以上も準備をしました。私も今回の評価に来ていた教育省の専門家の連絡員を担当させていただいたので、本当にこのところは雑用に忙殺され、自分のペースで動くことができませんでした。おかげさまで、上海海事大学は、19個の評価項目の中、17項目を「優良」、2項目を「良好」で、総得点を「優良」だったとよい成績を収めました。みんなは一応安堵しております。11月の2、3日には、上海海事大学で「世界海事大学笹川‐中国奨学生フォーラム」が行われました。日本財団の笹川陽平理事長ご一行が来られました。私はまた、会議の準備やその二日間の通訳でバタバタしていました。11月25日から30日までは、航海訓練所の練習船「銀河丸」が上海に寄港しました。当初、航海訓練所は代理店ともに上海海事大学にコンタクトを取る窓口がありませんでした。たまたま銀河丸上席一等航海士の竹本孝弘さんは、私のことを知っています。それで、私は銀河丸寄港に関する上海海事大学の担当者になっていました。ここで特筆したいのは、この度、地元上海で操船研究室OG、銀河丸次席一等航海士の布田様にお目にかかれました。私は本当に大変嬉しくて、布田様、竹本さん、そして、安全研究室OBの本間君と一緒に食事を楽しんでいました。 その前にも、株式会社日本海洋科学の冨久尾社長(我が操船研究室の博士後期課程の社会人入学の方でもある)をお迎えしました。私としては、日本からのお客様が来るたびに、少しでもホスト役を務めよう、心がけておりますが、経験不足のため、ご不便ご迷惑をおかけ致しましたことは、何とも申し訳なくお詫び申し上げます。このように、日本人が関係するとすべての仕事が私のところに来る(そういえば、つい最近も「日鉄海運」の社長ら一行をお迎えしました。)のも、それだけ私の存在が認められているということでしょう。これからも皆様と緊密に連携して、この人と人とのネットワークを大切にして、日中、乃至アジア海事社会のためのがんばりたいと思っています。

最後になりますが、一つ提案をさせていただきます。これからの夏ゼミ旅行は中国の上海や大連、それに、韓国のソウルや釜山へでも行ってみたらどうですか?ご賛同いただける方はご連絡下さい。ご質問ご意見等もどうぞ。これからは、大いにこの操船研究室のHPを利用していきたいと思います。よろしくお願いします。

2005.4.4

 

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