(井上先生の定年退官(2009.3月末日)後における「新現役」としてのご活躍の様子をお知らせするページです)

2011.11.25-12.2 佐渡汽船BRM研修(新潟)


佐渡汽船向けBRM研修(エッセンシャルコース)
~第二ステージ研修が修了しました~
平成22年12月に第1回BRM研修を実施以来、平成23年8月までに合計8回にわたり、井上欣三神戸大名誉教授と桑野偕紀日本ヒューマンファクター研究所長が共同開発したBRMエッセンシャルコースの研修が行なわれてきました。この第一ステージは佐渡汽船のすべての船長・一等航海士を対象に行なわれました。
ここまでのBRM研修は、2~3名の少人数グループに対するface to face 方式の 研修スタイルで行なわれました。BRMは一人ひとりの意識の持ちようとチームとしての行動への反映を理解させることが基本ですから、井上名誉教授によるインパクトのあるきめ細かな解説は参加者の安全に対する意識改革に効果があったようです。
ここまでの第一ステージに引き続き、佐渡汽船では第二ステージとして、11月末から始まる船隊の整備期間にあわせて、第一ステージで受講した船長・一航士以外のすべてのクルーに対するBRM研修を実施することを決めました。
    11月25日 おおさど丸クルー対象BRM研修
    11月26日 ジェットフォイルチーム対象BRM研修
    12月 1日  おけさ丸クルー対象BRM研修
    12月 2日  こがね丸、あいびすクルー対象BRM研修

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■研修スライド   スライドをクリックすると拡大します

 

 

 

 


 

新潟での研修の合間には、新潟-佐渡航路に乗船する機会がありました。

■ 新聞記事(海事新聞)

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井上名誉教授からのメッセージ (第二ステージ研修を終えて)
今回新潟への出張講義ですべてのクルーに対する神戸大学バージョンBRM研修を実施することができ、およそ一年にわたるBRM研修が一段落しました。いまはおおきな達成感を感じています。これもひとえにBRMの本質を少しでも理解しようと熱心に聴講してくださったクルーの真摯な姿勢によるものです。
一度受講したからといっていっぺんにすべてを理解できるなんてことはありません。ここまでに受講されたクルーはしゃかりきにならずに少しづつトライアンドエラーを重ねながら、クルーみんなで話し合いつつBRM意識の実践と行動への定着をすすめられればよいのではないでしょうか。
私としては、これからも佐渡汽船のクルー全員がBRM意識を定着させ、行動に反映していただけるように出来るだけのフォローをしていきたいと思っています。私からなにかリクエストがいくたびにBRM意識を思い出してください。
私がいまおおきな達成感を感じている理由にはもうひとつあります。それは、今回の新潟での研修では、第一ステージで受講された船長、一等航海士の方々も再度研修に参加されたこと、そして、その他のデッキクルーのみなさんだけでなく、機関部の方々、船客部門の方々、そして、安全管理に当たる方々、トップの責任者まで熱心に聴講していただいたことです。
ヒューマンエラーを退治するのは、なにも船上だけに限ったものではありません。陸上にも、そして、船陸間にも、組織的な背後要因が潜んでいる場合が少なくないのです。その点、佐渡汽船の研修を通じて感じたことは、安全をクルーだけの問題とすることなく佐渡汽船全体の問題としてとらえるトップの姿勢に感心させられました。
新潟―佐渡間の乗船の機会にも垣間見えましたが、ゼロ災に向けての取り組みもすすめられているようで、社内の安全文化の意識はとても高いと見させていただきました。この後は、経験と知識から抽出することの出来るヒューマンエラーの種のほかに、今まで見えていなかった背後に潜む事故の種を科学的に洗い出して、それらに具体的な安全の手を打つことが望まれます。
今回は佐渡汽船殿向けにBRMの本質を座学形式で学ぶエッセンシャルコースを実施しましたが、STCW条約の改定によってBRMは必須事項となりました。佐度汽船殿はすでにその取り組みをはじめられたと認識しています。
これから取り組みを始められる組織におかれては、まず、BRMの本質をクルーに正しく効率的に理解させることが重要です。それからその意識を日ごろの行動に反映できるようにする訓練へとすすめるのがよいでしょう。そのための一助として佐渡汽船殿に提供した神戸大学バージョンBRMエッセンシャル研修が役立つことを願っております。

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