(井上先生の定年退官(2009.3月末日)後における「新現役」としてのご活躍の様子をお知らせするページです)

2010.3.2 放送大学特別講義 幕張キャンパスで収録

平成22年度「放送大学 特別講義」に「海事テーマ」がとりあげられました。人文、社会、自然系コースを開設する放送大学が1983年開校以来「海事」をテーマに取り上げるのははじめて。学部、大学院併せて約8万人在籍する学生が海事をテーマにした特別講義を聴講し、我が国が抱える「海事」の社会問題に一人でも多く興味をもってくれれば海事社会にこのうえないアピールになるはずです。

講師には神戸大学大学院海事科学研究科井上欣三名誉教授が招かれ、講義タイトルは「海事社会と人材流」。 2010年3月2日に放送大学幕張キャンパスのスタジオで収録されました。この特別講義は、平成22年度は5月16日(日)20:00~20:45 および 8月16日(月)22:15~23:00の2回の放送、CS(スカパー)500チャンネルで全国放送。関東(東京、神奈川、埼玉、千葉、栃木、群馬)ではFM77.1MHZでも聴取できる。(2011年10月BSデジタルで放送開始予定)、今年から平成28年度まで6年間放送が継続されます。

内容は、海事社会の「クラスターパワーと人材力」の活用を軸にこれからの新しい人材育成と人材活用の社会的しくみについて解説展望したもので、特別講義の概要は以下の通りです。

特別講義「海事社会と人材流」概要

1970年代以降、日本の経済発展を支えてきた基幹産業としての海運界は、船の運航形態を日本の船を日本人が運航する運航する自国完結型から、外国に籍を移した船を外国人に運航させる外国依存型に移行することを余儀なくされた。このように労働力の大部分を外国に依存する海運界において、なぜこのような状態になったのか、そこに至る経緯、そこに生じる問題点について解説し、また、船員社会の変化に関する日韓比較、海事クラスターの実情に関する日欧比較を織りまぜながら、今後に向けての対策のあり方について、クラスターパワーを活用した人材育成と人材活用の社会的しくみを提案する。

一つ目の柱は、これからの海事クラスターを支える人材像として、船舶運航能力と陸上での管理者能力を両翼に備えた「ボスウイングス型人材」をイメージ。二つ目の柱は、業界の業界による業界のための人材育成を可能とする業界立「キャリアアップ支援教育スキーム」の提案。三つ目の柱は、海事クラスター内における新しい人材流の道筋を形成するための新たな社会システムとしての「海事クラスター協働型キャリアパス・スキーム」の提案である。

講義ではこれらそれぞれを具体的に説明する。特に、2008年から10年間で、日本人船員を今の1.5倍の3900人に増やす施策が打ちだされ、今後この施策から生まれる1300人の高コスト日本人船員の増加分を、市場原理のなかでどのような形で維持していくかを例題として、海運界、海事関連産業界、海事教育界が相互に協力してクラスター効果を活用するという発想に沿って課題解決方策を解きほぐす。

放送大学特別講義 日本海事新聞に紹介記事(2010.4・21)



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