海上支援の有効性検証調査実施 |
平成7年1月16日未明、阪神淡路大震災が発生した。学内における災害対策作業が一段落したころ、 当研究室では、船舶を活用した海からの支援について実態調査を開始した。 |
危機管理・海上支援ネットワーク提唱・立ち上げ |
船舶を活用した海上からの支援活動(被災者への生活機能の提供、救援人員・資機材輸送、旅客輸送、 患者移送、消防給水、等々)が思いのほか有効であることが立証されたことを承け、当研究室では 海上機能を活用した危機管理体制の必要性を訴えてきた。 |
学内体制構築・提携 |
震災さなか、六甲アイランドからクルーザーを使って透析患者の海上搬送を実施し、その後、インターネット 利用による透析医間の連絡網の構築に努力された、内藤秀宗先生(現、日本透析医学会会長)が、平成13年 初頭、患者搬送・資機材運搬を担当できる海上の受け皿さがしのため、井上教授(当時神戸商船大学副学長) 訪れたのをきっかけに、原学長の指示を得て、神戸商船大学(当時)附属練習船深江丸(矢野吉次船長)が その役割を果たすべく学内体制を構築した。 |
海陸連携中枢拠点の構築に関する研究の推進 |
平成13年度・14年度文部科学省科学研究費による研究の一部として、衛星パケット通信により船陸間相互情報 通信を、神戸大学海事科学部附属練習船「深江丸」と総合学術交流棟4階プロジェクト実験室に設置した陸上基地 を結ぶプロトタイプモデルを確立した。現在はこのシステムを利用して、医療側の患者搬送・医療ニーズを集約し、 海上側の受入れ体制を把握して、支配下船隊を効率的に配船・指揮するための、有事即応型海陸連携指令中枢と しての機能実現の研究を進めている。 |
阪神・淡路大震災に関係する主たる学術研究論文 《当研究室主筆分》
(1) 地震災害と船舶の活用―阪神大震災における船舶の活用実態と問題― 日本航海学会誌 「NAVIGATION」第126号、pp.1-11、1995.9
(2) 災害時における海上輸送システムの実態とそのあり方に関する調査研究 ―災害時:海からの視点― 関西造船協会、1995.12
(3) 神戸港の被災と海上交通 阪神淡路大震災に関する学術講演論文集、pp.687-695、1996.1
(4) 沿岸都市における海上からの支援―阪神淡路大震災での実績と今後の危機管理のあり方― 第1回直下地震災害総合シンポジウム、pp.291-294、1996.11
(5) 神戸港における港内交通の阻害と復旧 「阪神淡路大震災に学ぶ-土木計画学からのアプローチ」 阪神淡路大震災土木計画学調査研究論文集、pp.441-450、1997.9
(6) 船舶を活用した海上危機管理システム 「阪神淡路大震災に学ぶ-土木計画学からのアプローチ」 阪神淡路大震災土木計画学調査研究論文集、pp.493-4489、1997.9
(7) 船舶を活用した海からの支援 「阪神淡路大震災に学ぶ-土木計画学からのアプローチ」 阪神淡路大震災土木計画学調査研究論文集、p.499-514、1997.9
(8) 沿岸域における防災機構のあり方と将来への展望 「沿岸域」第10巻、第1号、日本沿岸域学会、pp.96-102、1997.10
(9) 沿岸都市における海上からの緊急支援-ゲートウエイとしての港湾- 日本港湾協会誌『港湾』、第77号、pp.44-45、2000.2
(10) Crisis Management for Coastal Cities from the Viewpoint of the Sea -Utilization of ship's Functions- 文部省科学研究費特定領域研究 英語版(都市直下地震による災害防止に関する基礎的研究) pp.1-3、2000.3
(11) 災害緊急医療に対する海上からの支援―海上支援ネットによる危機管理― 日本透析医会 雑誌、Vol.18. No.2 P.137-143、2003.8
(その他の雑誌,報告書類等は省略)
平成9年度重点領域研究 文部科学省科学研究費(採択) [海上の視点からみた港湾都市の危機管理]―船舶とその情報管理機能の活用構想- |
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当研究室は、衛星パケット通信により神戸大学海事科学部附属練習船「深江丸」と総合学術交流棟4階プロジェクト実験室に設置した陸上基地を結ぶ船陸間相互情報通信システムを活用した有事即応型海陸連携指令中枢機能を実現するためのプロトタイプモデルを展示し、海上支援ネットワーク指令中枢基地構想をアピールしました。
期間中は、ポートアイランド・神戸国際展示場1号館、特別企画展示「医療と危機管理」
『未来の危機管理・災害対策未来像』ブースにおいてパネルを用いた危機管理・海上支援ネットワークの説明展示と、総合学術交流棟4階プロジェクト実験室に設置した陸上基地を再現しストーリー仕立てのシミュレーションにより指令中枢基地の機能のプレゼンテーションをおこないました。
展示説明とシミュレーションのプレゼンテーションには、廣野康平、臼井英夫、世良亘(各助教授)があたり、高橋浩子と今住章浩(各大学院修士学生)が手伝いました。
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