災害時医療支援船事業 関西圏プロジェクト実施報告



(社)日本透析医会との協力事業として実施している「災害時医療支援船事業」関西圏プロジェクト(主査:井上欣三教授)では、平成18年度は、支援船隊拡充、講演会開催、訓練実施、海陸連携支援システム充実、を今年度の目標として具体化作業を実施した。


支援船隊拡充については、大阪湾の中心に位置する大阪港の港湾管理者、大阪市と神戸大学海事科学部「海上支援ネットワーク」との間で協力関係が成立し(平成19年3月22日)、広報船「夢咲」(187総トン、全長34.20m、速力31.0ノット、客室定員48名)を支援船として登録した。


また、大阪近郊を活動の拠点とする民間船3隻を支援船隊に登録した(平成19年3月27日)。協力会社は昭陽汽船株式会社、株式会社キャプテンラインであり、同社らが運航するキャプテンクック、キャプテンシルバー、キャプテンハリー(60総トン、全長25m、10ノット、客室定員146名)が対象船である。

大阪市広報船「夢咲」 支援船に登録された「キャプテンシルバー」


大阪市広報船「夢咲」を支援船として登録し大阪市と協力体制を構築することとなったが、これを機に3月25日に広報船「夢咲」による患者搬送訓練航海を、大阪天保山―関空港間において実施した。

「夢咲」船内で説明を受ける患者たち 関空港で下船
下船後の意見交換 「夢咲」船橋に配備されたGPS携帯
おおさかポートラジオとVHF交信



平成18年10月7日、新梅田研修センターにおいて「災害時医療支援船構想講演会」を実施し、200名近い参加者を得て盛会裏に終了した。

 


海陸連携支援システムの充実については、

1) 日本透析医会「災害情報ネットワーク」でやりとりされる情報を海陸連携支援システムで受信し、分析できる機能の充実と開発
2) 海陸連携支援システムにおいて支援船隊各船の行動をGPS携帯により監視できる機能の充実と開発
3) 海陸連携支援システムと支援船隊と患者引率者間を結ぶ通信連携の構築

の作業が必要であるとの観点から、NTTドコモ関西の協力を得て、上記機能を具体化するための基本設計、ハード提案、ソフト開発を行った。

平成19年1月、これらの作業が完了し、平成19年3月25日に実施した大阪市広報船「夢咲」による患者搬送訓練航海において機能検証を平行して実施し、所期の成果が得られたことを確認した。

※    「夢咲」の患者搬送経路(GPS携帯による航跡追尾結果)

 

被災地と支援地ならびに海陸連携支援システム間の通信連携強化の観点から、関西圏プロジェクトとして衛星電話を配備することを提案し、海陸連携支援システムに1台、大阪透析医会責任者、兵庫透析医会責任者に各1台設置することとなった。


導入された衛星電話(KDDIイリジウム)
右手がイリジウム衛星電話、左手はワイドスター衛星電話


災害時医療支援船プロジェクト