2005年10月2日、当研究室が主宰する『危機管理・海上支援ネットワーク』では日本透析医会と連携し、日本財団助成事業の一環として、深江丸による透析患者海上搬送訓練を実施しました。
これは、大規模災害時、医療界からの要請を承け、船舶を派遣して海上から患者の搬送ならびに医療資機材の輸送を実施、また、衛星通信を利用した「海陸連携支援システム」を拠点基地として、災害時における緊急医療活動を海上から支援する組織を確立、これを全国規模に発展・定着させることによって、災害時医療に対し危機管理の面から社会に貢献しようとする事を目的としています。
これまでに、医師・船舶関係者による運用検証航海(2005年3月9日)、医師・看護師・臨床工学士による運用検証航海
(2005年7月19日)に続き、今回は実際に患者さんを搬送する3回目の検証活動となりました。
運営組織 |
「災害時医療支援船運用計画策定と実施」調査委員会が、実行委員会を組織して実施した。 |
実行委員会(敬称略) |
実行委員長(主査) |
井上欣三(神戸大学海事科学部 学部長) |
実行委員(副査) |
杉崎弘章(日本透析医会 専務理事) |
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山川智之(日本透析医会 常務理事) |
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水口 潤(日本透析医会 理事) |
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武本佳昭(日本透析医会 理事) |
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赤塚東司雄(日本透析医会) |
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武田稔男(日本透析医会) |
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臼井英夫(神戸大学海事科学部 助教授) |
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実施日時 |
2005年10月2日(日)9時~17時 |
場所及び使用施設 |
神戸大学海事科学部付属練習船『深江丸』 ⇒ 449総トン(長さ49.9m) ⇒ 速力12.5ノット【時速24km/h】 ⇒ 航続距離3000マイル(5500km) ⇒ 定員64名 |
実施内容 |
目的: 災害時に維持透析が必要な患者を船舶を使用して海上ルートで搬送を行うにあたって、医療スタッフが乗船した「深江丸」に透析患者を乗船させ、深江―大阪間の訓練航海を行い、透析患者の海上搬送のフィジビリティを検証する。 検証項目:
- 災害時における患者情報伝達の精度と方法についての検討
- 患者、医療スタッフによる船内環境の視察
- (患者態様による医療対応、船内加療とその環境、資機材輸送とその環境等々)
- 航行中の動揺、振動、騒音環境の体験
- 深江丸の生活環境、衛生環境の調査
- 深江丸のライフライン支援、通信機能の調査など
- 海陸連携支援ネットワークを使用した船陸間通信の確認
訓練時の想定:
- 阪神地域を襲った甚大災害により、神戸にある一定範囲の透析室が壊滅的被害を受け、維持透析の継続が不可能になった。
- また、阪神地域間の陸路の寸断によりある程度の期間孤立する状況となった。
- 「海陸連携システム」の利用により、当該施設と被災地外の大阪にある受け入れ施設との間で調整を行うことができた。
- そこで、当該施設に通院中の患者が海路を利用して移動し、被災地外の施設で維持透析を行うこととなった。
- 当該施設からバスで神戸大学海事科学部附属練習船深江丸(総トン数449トン、乗船定員64名)係留岸壁まで搬送される。
- 医師、臨床工学技士及び看護師が乗船待機する(受け入れ側の港から同乗してきたと想定)深江丸に乗船して被災地外の施設付近の岸壁まで搬送される。
- 岸壁から被災地外の施設までバスで搬送される。
- その後、被災地外の施設での維持透析を行うという想定。
※船内での治療は、補液と圧迫止血などによって止血可能な創傷処置、酸素投与による応急処置程度までを想定している。それ以上の処置が必要な場合、例えば船内での緊急透析実施のフィジビリティについては7月19日の検証航海にて検証済み。
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災害時医療支援船プロジェクト