わくわく調査船プロジェクト 2004


“わくわく調査船”プロジェクト2004実行委員会が、中学生を対象に調査隊員を募集したのが6月7日でした。今回は先着順の受付としたので応募総数はわかりませんが、受付開始直後から次々と申し込みがあり、短期間で定員に達するほどの人気ぶりでした。海の道を通って、船で海から港を訪問し、寄港地先で“みなと・うみ・ふね”の係わりを、様々な角度から調査することによって、中学生のフレッシュな目を通して“みなと・うみ・ふね”について、また、“みなととまちの、ひと・もの・こと”について新しい発見をしてもらおうというのが主催者の意図でした。今年は、尾道、高松を寄港地に選び、調査隊員31名が深江丸に乗船して3泊4日の調査クルーズに参加しました


調査クルーズに先立ち、7月10日と17日の土曜日に半日かけて、調査のための事前オリエンテーションが海事科学部学術交流棟にて行われました。調査隊員は、それぞれのチーム(みなと仕事人コース・みなとまちコース・みなと交通コース・みなと食文化コース)に分かれ、暑さに負けず全員熱心に事前勉強に取り組みました。

 


7月27日(火曜日)、多くの父兄、関係者の見送りを受けて、深江丸は午前10時に調査クルーズに出発しました。出港式では、NHKテレビや新聞社の取材もありました。尾道、高松への航海の途中、明石海峡大橋や備讃瀬戸大橋などの下をくぐり、また、緊急避難訓練もおこなわれ、日頃、めったにできない体験もしました。

船上での調査活動として瀬戸内海の環境調査を行い、また、航海士の仕事も体験しました。乗組員から船の仕事について講義を受けたり、船内見学をしたり、また、隊員は一人づつ順番に舵を握り、皆大いに緊張した様子でした。船内では、夕食後も、尾道港(7月28日)と高松港(7月29日)における陸上調査活動の事前準備と調査データのとりまとめに取り組むなど、寝る時間を惜しんでみんな頑張りました。尾道、高松港でもテレビ、新聞のマスコミ取材を受け、調査隊員は大張り切りでした。高松での活動を予定通り終えた後、台風10号の接近が懸念されたため、海上が穏やかなうちに深江に戻ることにし、夜航海で帰途につきました。明石海峡大橋の夜景がとても綺麗でした。7月30日(金曜日)、午前9時、多くの出迎えの父兄も参加して下船式が行われました。下船式では実行委員長の井上教授から隊員証が一人一人に手渡されました。

31名全員が元気に調査を終え、深江に戻って来れたことが最大の成果ですが、本当の成果は、今秋に予定しているシンポジウムで完結することになります。この成果は、中学生が感じた「みなと・うみ・ふねの過去~現在~未来のすがた」として社会に情報発信し、港や海・船の新たな魅力づくりに役立てられます。


≪ご家族の方々に≫

“わくわく調査船”プロジェクト2004にご子息を隊員として派遣していただいたご家族の方々には、実行委員長として深く感謝しております。3泊4日の調査クルーズを終えて、一段とたくましくなった様子を実感していただけたでしょうか。このプロジェクトは、単なる楽しい旅行を企画したものではありません。船の生活を通じて、規律・協調・友愛の精神を体得し、家庭でも、また、学校でもその意識を毎日の生活に活かしていただきたいと考えています。また、調査するということは、何ごとにも新鮮な興味を持って、新しい発見につなげるプロセスを実践するひとつの方法です。“わくわく調査船”プロジェクト2004が、子供の成長にとって重要なこの二つの目標を達成するための、体験学習の場として企画されたものであることをご理解いただければ幸いです。


今年は準備のためのスタートが遅れたこともあって、スタッフ全員がこのプロジェクトのゴールを共通の理解として共有し、それを参加者に十分周知できたかどうか反省点もある。また、乗船研修とは何かを十分説明できていなかった反省もあるが、【船に乗ること=ロマンを楽しむこと、寄港地を訪問すること=旅を楽しむこと】といった意識が【船に乗ること=社会生活の道場、寄港地を訪問すること=調査活動】とするプロジェクト本来の目的を忘れかけさせる危うさもないわけではなかった。今後これらの点を反省材料としたい。実行委員会、協力体制、後援者がその後充実され、最終的に下記の組織のもとで実施に望みました。

「船は学びの場」